トイレの手摺 2

  車椅子によるトイレ利用時の 手摺の取り付け位置ついて

 手摺の取り付け位置は、車椅子と便座との間で 体を移動する際の使い勝手を
考慮しなくてはなりません。
 一般的には、手摺の高さが 車椅子の肘掛の高さと同じであること、
また、車椅子の座面と大便器の便座の高さが同じであることが、
より移動がしやすい高さと言われていますから、
使用する車椅子の各部の高さが目安となります。

  車椅子の肘掛の高さは、床から約65~70cmの位置に、
車椅子の座面は床から約45cmの位置にありますから、
手摺りや大便器の便座の高さを それに合わせると良いでしょう。
大便器の便座の高さは、車椅子の座面より低い事が多いでしょうから、
その場合には 便器に台座を設けて かさ上げするなど、高さを調整する必要があります。
 また、市販されている便器には、便座面の高さが45cmに近い製品もあるようですから、
予算に余裕があれば検討されると良いでしょう。

なお、便座の高さを車椅子の座面と同じ床から45cmの高さにする場合に気を付けたいのは、
便座がかなり高いために、便座に座った際に足が床から浮いてしまうことです。
 足が床についていないことで、姿勢が不安定になったり、
緊張することで排泄に支障をきたすことがないよう、
障害の程度により 考慮・検討が必要です。

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トイレの手摺 1

  トイレでは、一般的にL型手摺や 介護が必要な時には可動式の横型手摺が
用いられます。
今回は取り付け頻度の高いL型手摺についてメモします。
( 車椅子によるトイレ利用時の手摺の取り付け位置については、
次回のブログに掲載する予定です。)

  衛生器機メーカーでは、衛生器機の他に障者用の手摺も製造販売しており、
カタログにはトイレ内での一般的な取付け例などが記載されていますから、
参考とすることができます。

その際に気をつけたいのは、
例えば 大工さんに手摺の取り付けを依頼する場合、
大工さんは 施主から要望がなければ カタログにあるように
床から約70cmの位置に手摺を取り付けますが、しかし実際に使用してみると
「70cm」の位置では少し高すぎて使いづらいことが多いようです。
これは、便座面と手摺との距離が離れすぎていることによる為と思われます。

  一般的に大便器の便座面の床からの高さは約38cm、 
便座面に洗浄式便座をのせた場合には約40cmになりますから、
床から約70cmの位置にある手摺と便座面との間の距離は30cmになります。
例えば、座面が水平な椅子に座って、座面から30cmの位置に肘を置いてみると、
肩が上がってしまうことがわかります。
肩があがった状態では、思うようには手摺りに力が伝わりません。

  肘掛け椅子に座ってみると よくわかります。
肘掛は、椅子の座面から20~25cmの位置に設けられていて、
椅子にすわって肘を掛けたとき、肩が水平に近くなる程座り心地が良くなり、
また、椅子から立ち上がるとき、肘掛けを支えとしやすくなります。
(椅子から立ち上がるとき 少し前かがみの姿勢になりますから
その分肩の位置が下がります。
その際 支えとする肘掛けが、座面から20~25cmの高さにあることで、
この肩の下がり具合を調整しやすくなるのでしょう。)

  大便器の便座面の床からの高さ約38cm(洗浄式便座をのせた場合には約40cm)、
便座面から手摺までの高さが20~25cm として、床から手摺までの高さが約60~65cmを目安とすると良いでしょう。
また、手摺りを取り付ける際の大便器からの水平距離は、
L型手摺の縦手摺の位置が 大便器の先端から15~30cmが一般的ですが、
身体機能が低下するほど便座から離した方が使い勝手が良くなるようです。

  利用する人の体格よって便座面から肘までの高さは異なり、
また身体機能の程度も人によってそれぞれ異なりますから、
手摺りを取付ける際には、実際に便座に座り肘を曲げてみて取付け高さを調整し、
仮留めした上で便座から立上がるなどして、使い勝手の良い位置を決めると
良いでしょう。

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マンションの間仕切壁

分譲マンションの間取りを検討する際に気を付けたい点があります。

将来家族構成がかわって間取りの改修を行ないたいと考えた時に、果たして 今在る間仕切壁を撤去する事が出来るのか という点です。

建物の構造には、

・柱と梁で構成されるラーメン構造や、
・壁と床版で構成される壁式構造などがあります 。

ラーメン構造は室内に柱や梁が現れることが多く、場合によっては部屋の使い勝手などに影響することがありますが、しかし、大きな空間を造ることが出来ますし、その中で間仕切壁を自由に配置することが出来ます。

壁式構造は室内に柱などが現れることはなく一見すっきりした印象になりますが しかし、構造的に決められた位置に、例えば厚いコンクリート壁を設ける事になり、改修を行なう際に邪魔だからと言ってその壁を撤去することは出来ません。

マンションの間取り図を見て 室内に柱型がなく壁式構造と思われる時は、どの壁が構造的に必要な壁(耐力壁)なのか確認すると良いでしょう。

将来子供が独立したら2部屋を1室に改修したいと思っていても、間仕切壁が耐力壁である場合には壁を撤去できず、 1室にすることが出来なかったり、たとえ1室に出来たとしても部屋の真ん中に耐力壁が残ることになってしまいます。

この事は壁式構造による戸建住宅についても同様でしょう。

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二階に居間

 玄関の部屋と題して、玄関近くに部屋を設けて、外室・帰宅の際に便利に使うことは出来ないか記しましたが、間取りによってはそのような部屋を設けなくとも、例えば玄関のある1階に個室・洗面・浴室を設けることで同じような使い方が出来そうです。
 ただ1階に個室を設けることで場合によっては居間やキッチンを2階へ移すことになりますから、その場合には2階キッチンへの物の運搬や1階玄関への対応、玄関と個室が近づくことによる子供の行動への影響など新たに考慮すべき点が生じます。

 玄関のある1階に個室がありますから帰宅後すぐに自室で身軽となって、その足で2階の居間・ダイニングへ移動することになります。
 この時に利用する階段の勾配ですが、1階居間から2階自室へあがる階段は勾配が少々きつくてもそれほど気持ちに負担はかかりませんが、1階自室から2階居間へ向かう階段は居間の一部と考え、居間の持つ性格に合わせて緩い勾配にした方が気持ちがよりリラックス出来ると思います。特に朝、1階自室から2階ダイニングまで少なくとも一度はあがらなくてはなりませんから、その際の気持ちの負担を軽くし楽にする為にも階段の勾配は緩やかな方が良いでしょう。またこの階段の吹き抜けを利用して1階玄関の様子を見ることが出来れば便利です。

 2階に居間やダイニングがある場合、1階にある場合と大きく異なる点のひとつに窓からの眺望があります。

 例えば、その大小はともかく庭があって樹木がある場合、1階居間からは主に樹木の幹を見ることになりますが、2階居間からは枝葉を見ることになります。2階に自室があってはき出し窓のベランダがあれば同じ眺望になりますが、しかし窓から眺めるのは平日は朝と帰宅後の夜だけですが、2階居間であればほぼ一日中眺めることになります。
 また陽射しや風通しの点では、隣家との位置関係にもよりますが、1階ほどには隣家の影響をうけませんから、窓の取り方によっては1階居間よりも陽射しや風をより多く取り込むことができるでしょう。

 また、1階に個室がある場合、例えば家族がケガや病気で自室で療養するような時や、あるいは車イスやストレッチャーを利用する時など、もし玄関・廊下・建具の大きさに支障がなければ、大変都合が良いでしょう。深夜の就寝時の地震や災害など万が一の際の非難にも1階に自室があると都合が良いかもしれません。
 もし3階を設けなければ、構造的に工夫することで2階居間を大きな空間にすることが出来るかもしれません。(その場合、ただ短絡的に窓などの大きな開口を取ることができる事にはなりません。大きな開口を取る場合は耐震上の検討が必要です。)

 なにかしら良いことばかりを書いているようですが、都合の良くないこともあります。
2階に居間やダイニング・キッチンがあると、例えば食材を2階まで運ばなくてはなりません。
キッチン廻りの設備、例えばガス管や温水器からの配管を2階まで通さなくてはなりません。
2階居間にピアノを置く場合には、1階個室の上にピアノのような重い物があることにもなり、また家全体の構造にも配慮が必要です。
 感覚的なことですが、客をいきなり2階にあげることになります。
その他、高齢になったときの2階居間の利用の仕方、子供にとっての1階自室についてなど考慮しなくてはならないことがあります。
 敷地の形状によっては2階部分に前面の道路が接して自ずから2階に玄関・居間を設けることになる場合もあるでしょうし、外部階段を設けたうえで玄関・居間を2階に設ける場合もあるでしょう。いずれの場合も「個室は2階」という一般的な間取りとは大きく異なりますから使い勝手や将来のこと、特に住む者が高齢となった場合のことなどを充分に考慮・検討する必要があります。

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続・玄関の部屋

玄関の傍らになんにでも利用できる部屋を設ける・・・

ただいまァ~と帰宅してすぐに、廊下脇の部屋(扉はありません、あったほうが良い場合には、少し幅広の引き戸が何かと便利です)に寄って手にした荷物を棚に置き、左右に並んだクローゼットの一方で普段着に着替えた後、隣あるいは向かいの洗面室で手洗いにうがいなどして、さぁ夕食・・・

でも、まだ少し時間があるようなら、この部屋から着替えを抱えてパンツ姿で洗面室から浴室へ・・・そういう場合、いっそのこと、この部屋から廊下を介さずに直接洗面室へ入れる方が楽かもしれませんし、そうなれば着替えた後の衣類なども直接洗面室の洗濯機へ放り込めるでしょう。

ところで、2階に自室がある場合にこの部屋とを行き来するよな 梯子を設けてはどうでしょう。
朝寝坊した時など急ぐ時には利用して、この部屋へ直接降りて洗面着替えが出来れば、際どいタイミングで遅刻しないで済むかもしれませんし、いっそのこと消防署にあるようなステンレスのパイプで垂直にすべり降りた方が早いかもしれません。でも、ステンレスだと下りはともかく登るのが大変でしょうから、フルに利用するなら竹にして登りにチャレンジすれば、日頃の運動不足解消のストレッチにもなるかもしれません。

この部屋で着替えるのですから、やはりお化粧も出来るように程好い大きさのテーブルをひとつ置くと良いでしょう。このテーブルは、棚に置いておいた会社の仕事を独りになってやる時も使えます。

そうやって、この部屋にあれこれと機能を持たせていくと、できるだけ広い方が良いようにも思えてくるのですが、それなら、さらに「いっそのこと」、この部屋と廊下の壁を取っ払ってしまって、ひとつの部屋にするのはどうでしょう。
壁がない分洗面室にもすぐ移動出来るでしょうし、玄関と居間との行き来は家具や棚で仕切った通路を利用することも出来ます。ただ、玄関の扉を開けるといきなり部屋とならないよう、また寒風など空気の流れや目線の処理にも工夫が必要です。

もうひとつ、この部屋に置くテーブルを椅子にかけて使うならその部分の床はフローリングの方が良いでしょうが、しかしその他は畳敷の方が便利です。
衣類の中にはフローリングの上に直に置きたくない物がありますが、そんな時でも畳の上なら気になりません。特に和服の着付けの際にはやはり畳が必要です。

また、好みにもよるでしょうが、このテーブルも座卓にして畳に座して使う方が使い勝手が良いように思います。フローリングの上では書類や本などあれこれ散らかせませんが、畳の上ならそれが出来ます。それに、正座してお化粧をすれば、何かしら由緒正しいきちんとしたお化粧ができそうです(それはどんな化粧なのと問われても「正座だものねぇ、由緒正しいんじゃないの!」としか言えません。ゴメンナサイ)。
ただ、お化粧にかかる時間はまちがいなく短くなります。なにしろ現代人の足は、しびれに対してまったくと言って良いほど鍛えられていませんから。

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玄関の部屋

 以前、玄関に収納を設けると便利で良いと書きましたが、少し話をひろげて言うと、
いっそのこと、「部屋」を設けたほうが便利なのではないかと思うことがあります。

例えば夕方の玄関を想像してみてください。

ただいまァ~と帰宅した子供の様子はどうでしょう。
玄関に着いたとたん、手にした学校の教材やクラブの用具をドッカと床におとし、
肩からおろしたカバンを廊下に投げる。
制服の汚れを気にするでもなく、靴をぬぎ、汗で足跡がつきそうな靴下で
フローリングに上がると、荷物を引きずるように自室へ。

やがて、親のどちらかが、あるいはその両方が帰宅すると、子供同様、
手にはカバンやバック、書類封筒、途中で買った本に夕食の材料、
着ているスーツにネクタイ、冬ならばコートにマフラー、手袋、
それらを身に付けたまま、居間に寄って自室へ。

つまり、ほとんどの場合、持っているもの身に付けているものの大半を
玄関から自室へ運んでいるのです。

その労力はわずかかもしれませんが、しかし、もし自室が二階にある場合には
階段を上がる時、よいしょと声をかけてしまいそうです。

そして翌朝、同じように自室から玄関へ。

それならいっそのこと、玄関脇に更衣室のような部屋を設けて、家族全員の衣類や
外室時に身に付けるバック・カバン・腕時計・ネックレス・ハンカチ・ティシュなどを
置いておき、朝この部屋で身支度をして出掛け、夜は帰宅したらこの部屋で着替えをする。

こうすれば、朝、出掛けに忘れ物をしても、靴を履いてしまった家人にせかされて、
二階へ取りに駆け上がることもないでしょうし、また衣類などの洗濯物は、
各自の部屋へ持って行かなくても、この部屋へ運んでそれぞれの棚にでも
収めれば良いでしょう。

その他、学校のクラブの用具や外に持ち出すテニスラケット・ゴルフクラブ・釣りの道具・
バードウォチング用のスコープに三脚などの趣味の道具を収納するなど、
玄関脇のこの部屋を機能的に使えば、便利な部屋になるのではないかと思うのですが。

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自由な発想

これまでリビングやダイニング、キッチンという室名を使って文章を書いてきましたが、
しかし室名のとおりに各室が壁で仕切られている必要はありませんから、
大きな一部屋がLDKであっても希望したとおりの造りであればそれでよいことです。

LDKは、公共住宅を構成する概念として用いられて以来、今では住まいの
大きさや部屋数をあらわす物差しのような言葉になっていますから、
例えば我が家を思い描く時にもLDKの文字で部屋割りをしたり、
人に自分の家を説明するときにもLDKを使っているようです。
また、人はそれぞれにLDKのイメージを持っているでしょうから、
「3LDK」と聞いてイメージする家の大きさもまた人それぞれです。

もしかすると、このLDKが住まいについての意識の中に知らぬ間に根付いて
しまっていて、その為に例えば住まいを思い描く時、意識がLDKに縛られて
室名や部屋数に向かい、自由な発想の妨げになっているのかもしれません。

キッチンは必要とする機能からも独立していた方が良いでしょうが、
LDについてはもっと自由に考えても良いように思います。
例えば、リビングという名の部屋をつくってそこでくつろぐのではなく、
くつろぐ場所をつくって、そこをたまたまリビングと呼ぶ、というように。
そうすれば「リビングだから応接セット」ではなく、「趣味の鉄道模型が
走り回るからリビング」にもなるように思います。

この他にも例えば「玄関だから靴をぬぐ」と言うのも、
ちょっと別の見方が出来るのではないでしょうか。
日本人の「清潔」に対する感性として、履物をぬいで家にあがることは
覆しようのないルールですが、しかし、いわゆる玄関という部屋をあらためて造らなくても、
履物をぬぐ所を玄関と呼べば、その「所」はなにも部屋である必要はないようにも思います。
その昔、縁側から出入りし縁側で客を迎えていたように。

「まず初めに子供部屋」と言えば、部屋でなくてはなりませんが、
「子供の居る場所が子供部屋」と考えれば、それはいわゆる部屋の形をしていなくても
良いのではないかとも思います。そう考えると「子供部屋」に対するイメージが「秘密の基地」
みたいなものになってしまったりするのですが。

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宅地について 1

宅地は、その上に家を建てる場所ですから、
その宅地がどのような地盤であるか
事前に把握しておかなくてはなりません。

豪雨などの自然災害で宅地が崩れて家が傾き、
あるいは倒壊するなどのニュースに接すると、
たとえ事前に調査し安全を確認した宅地であっても、
予想を超える自然災害にあえば、被害の大きさは
計り知れないものがあることを改めて実感します。

しかし、そうではあっても予測できることがあれば、
可能な限りの備えをしなくてはなりません。

たとえ専門家でなくてもいくつかのポイントを
知った上でその選定にのぞめば、万が一の場合に
被害を小さくすることが出来るかも知れません。

ここでは新たに造成された宅地について意見を述べます。

宅地は、海などを埋め立てたり、
山や丘を切り開いたりするなどして造成されます。

海に近い埋立地は、
一般的に地下水位が高くて地盤が軟弱なことが多く、
地震の際その規模によっては、
地盤がゆさぶられることで液状化現象が生じ、地下水が上昇して
地盤がさらに軟化し、建物が沈むことがあります。

田畑などの農耕地であった地盤は
その表層が腐食土となっていて、
多くの場合には地耐力(※)が低くい為に、
やはり建物が沈むことがあります。

これらの埋立地では
長期にわたって地盤の沈下が発生しやすい為、
建築にあたっては地盤を改良したり、
耐力のある地盤まで杭を打ったり、
基礎をベタ基礎とするなどの対策が必要になります。

(※)地耐力:
1㎡あたり何トンまで乗せても沈まないかという地盤の持つ耐力。  

宅地について 2へつづく

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宅地について 2

山や丘を切り開く場合は、一般的には傾斜地の一部を切り取った土で、
その下部の傾斜地を埋めて一段の平地を造る作業を繰り返します。

切り取った地面(切り土)は本来の地盤のままですが、
埋め立てた地盤(盛り土)は切り土に比べて土の密度が低くなりますから、
もし宅地の区画内に切り土と盛り土がある場合には、
地盤の弱い盛り土部分がより沈下(不等沈下)しやすくなり、
盛り土の土質によってはさらに沈下が進む場合もあります。

また、たとえ切り土であっても、
宅地の外周や一段低くなった隣の区画との境界に擁壁が
設けられている場合には注意が必要です。

擁壁の工事は、擁壁の両面に施工スペースを確保したうえで行う為、
切り土の一部を掘削して工事をし、擁壁完成後に掘削した部分を埋め戻します。

そのため埋め戻した箇所が、盛り土の場合と同様に
土の密度が低く不等沈下を起こしやすくなります。
また擁壁に設けられている水抜き用のパイプから土砂が流出するために、
埋め戻した箇所が沈下することもあります。

また山を崩して谷を埋め立てて造成された宅地の場合には、
谷側の造成地が谷底部へ向かって沈下することがありますから、
注意しなくてはなりません。

できれば盛り土や擁壁のまわりの埋め戻し部分は避けて建築したいものですが、
避けられない場合は前述の埋立地の場合と同様の対策を講じる必要があります。

宅地の土質、切り土と盛り土の見分け、造成後の経過年数、沈下量の測定、
地耐力、地盤改良など専門的な知識や経験を必要とする鑑定や判断は、
それを専門とする技術者にたよらなくてはならず、従って費用も必要となりますが、
宅地は、家はもとより、そこに住む人の生命をも託すのですから、
選定にあたっては可能な限りその内容を確認すべきだと思います。

この章の最後に、専門の技術者に相談するにあたり、
造成された宅地について、もし分譲業者から資料が提示されない場合には、
あらかじめ分譲業者に確認しておいた方が良いと思われる点について
記しましたので参考にして下さい。

宅地について 3」につづく。

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宅地について 3

造成された宅地について、専門の技術者でなくても調べられることがあります。

たとえば宅地のまわりの状況を見ることで、
宅地に造成された場所の元の姿をおおよそ知ることが出来ます。

まず宅地のまわりを見まわしてみましょう。

●宅地の周りは平坦地か傾斜地か。
  平坦地ならば造成の際の切り土・盛り土の規模は小さく、
  傾斜地ならば大きな規模の工事が行われているかもしれません。

●宅地のある地名に谷・沼・田・畑などの文字が使われていないか。
  地名にこれらの文字が使われていれば、
  現在その痕跡がなくても過去には文字が示すような地形であったと考えられます。

●宅地の周りに川や沼・湿地がないか、また水はけは良いか、
 過去に水害を受けていないか、近くに井戸があればその水位はどうか、
  これらの事を知ることで、その地域の水に対しての安全性やあるいは
  水害による危険性を考慮するきっかけになります。

●宅地のまわりで自生している植物の種類が、ある一線を境に異なっていないか、
 もしあれば土質の違いによる不等沈下が起きていないか、
 あるいは周辺に断層はないか、
 不等沈下や断層によるものとして次のような点にも注意してみましょう。

  ・宅地の周辺にある建物や塀の基礎・外壁にひび割れはないか、
  ・建物が変形したり軒先がゆがんでいたりしていないか、
  ・敷地が沈下したり、近くの道路に凹凸の箇所はないか、
  ・道路の排水溝に水が溜まっている箇所はないか、

たとえ土質に専門的な知識がなくても、
これらのことを観察することでいろいろな事を予想したり知ることが出来たりします。

そのうえで、周辺に古くからある商店の人や役場などを尋ねてみると良でしょう。
地元の人しか知らないその土地の状況や過去の災害など、
地域のいろんな情報を知ることが出来るかもしれません。

また、その地域にある建設会社や工務店、土木会社が、過去に行った工事で、
その土地に関する土質や地耐力などの情報を得ている場合があります。
場合によっては役場で紹介してくれるかもしれません。

宅地は決して安価なものではありませんから、
販売業者にせきたてられるように購入するのは考えものです。

また、見晴らしが良いから、幹線道路に近いからなど、
地盤の性質と直接関係しないことを優先して購入を決めるのも良いこととは思えません。

前にも記しましたが、
宅地は、家はもとより、そこに住む人の生命をも託すのですから、
なによりも先ず第一に、
それがどのような地盤であるのか理解する事を最優先したいものです。

宅地について 4」へつづく

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